遅ればせながら、レイトオータム鑑賞。
この映画、ヒョンビンへの依怙贔屓を抜きにしても素晴らしい。
キム・テヨン監督もこれから監視リスト入りだ。
トラン・アン・ユン、レオス・カラックス、ウォン・カーウァイ
上述の三監督と同じ香りがする。いい匂いだ。
とはいえ、似て非なるものでもあり、それぞれに美しい映画を撮る。
(とかなんとか言って、ドイルが撮監したら、みんな一緒にされそうだが)
カーウァイ大好き人間としては、
いつかカーウァイがヒョンビン撮ってくれんかなと思う。
どエロいヒョンビン出来上がりそうww
映画のあらすじとしては、ググッて貰うとして。
とにかく、終始暗い。シアトルの背景も湿度を含んだ灰色で、物語に合致している。
アンナ役のタン・ウェイが、重い重い芝居をする。
フン役のヒョンビンは、軽薄そうな男を演じる。
このバランスが凄く良かった。
ヒョンビンは今回、高級男娼の役。エスコートサービスと言うそうだ。
パーティーの同伴など、時間給で請け負うサービスらしいけど、
もちろん夜のお供もおk。昔でいうジゴロってやつ?
まあ、流石カメレオン俳優ヒョンビン様。似合う似合う。まーーー似合う。
髪を上げてリーゼント風。というかジェームス・ディーン?
メタメタかっこいい。もうだめ。
自棄になったアンナが誘い、フンが応じるシーンでは
今までのドラマではなかったエロヒョンビン。
ボタンーーーー外すーーーーーーってなるだろ。私は大いに叫んだ。
あの腹直筋はヤバイ。外腹斜筋も。
ああ、また話が逸れた。
この映画、素直に面白かった。
大胆な展開はないけれど、静かに静かに動いていく心模様が見ていて気持ちよかった。
アンナに許された時間は72時間。つまり三日間。
三日間で男女が出会い、心を結ぶまで、濃密に描いている。
アンナは心から愛した恋人に捨てられ自暴自棄に優しい男と結婚した。
順調に結婚生活を送っていたところに、アンナを捨てた恋人が現れ、駆け落ちしようと言う。
それに気づいた夫が激昂し二人を殺そうとした。という、上記の内容をアンナがフンに告白するシーン。
アンナは、中国語の分からないフンに中国語で今の告白をする。
フンは唯一わかる「良い」「悪い」の単語だけで相槌をうつ。
これは、私の好きな「不通」
通じないんだよ。伝えられない、けれど伝わらないからアンナは心が溶ける。
「どこで間違えたんだろう?」とフンに聞くアンナ
「ハオ、ハオ(良い、良い)」と答えるフン
このあとアンナは笑う。とっても可愛い笑顔で。
きっと彼女の本当の顔はこちらなんだろう。
それが夫を殺した罪、恋人に裏切られたことで彼女を厳しい氷の顔に変えてしまった。タン・ウェイ、上手いなあ。
このアンナの「夫殺し」だけど、甚だ疑問が・・・
夫は、激昂して
二人を殺そうとした、とアンナは言う。
そして、アンナが気絶するほど夫に殴られたと。
けれど、冒頭シーンでアンナは顔半分に殴られた痕を付けて、朝の住宅街をふらふらと歩いている。
ふと正気に返って、家に戻ると夫が死んでいる。
アンナは夫の周りに散乱した手紙や写真をかき集める。
このシーン、アンナは何かを食べている。
夫の手に握られていた紙片を食べて、証拠隠滅しているのだ。深読みしすぎると、
アンナは元恋人のワン・ジンが夫を殺した証拠あるいはワンとアンナの繋がりを隠滅して・・・おそらく、不正解だろう。
あれは単に、ワン・ジンが「駆け落ちしよう」という旨の手紙か何かだろう。
ワン・ジンに疑いが向くことを避ける、それだけのことだろう。
葬儀後の会食でアンナとフン、元恋人ワン・ジンとその妻が顔を合わせるシーン。
中華テーブルで、ワン・ジンとその妻がお茶を取ろうとすると、躓くのも面白い。
が、そのうち、フンがアンナと結婚するんだと恋人宣言する。
アンナとワン妻が席を外した途端、豹変するワン・ジン。
フンに「アンナに近づくな」とのたまう。
そこで殴り合いの喧嘩に発展するが、アンナがフンを止める。
するとフンは「そいつが俺のフォークを勝手に使ったんだ、ありえない」と言い訳する
アンナはワン・ジンに「どうして人のものを勝手に使うのよ!謝るべきよ」と泣き崩れる。
この台詞はアンナが結婚していた当時の状況にもそのまま当てはまる。
おそらく、彼女は夫を殺した日から泣いていない。そしてワン・ジンも自分の罪を自覚していない。
このタン・ウェイの泣きは素晴らしかった。子供のように、声を上げて泣く姿が、彼女がいかに辛い七年を送ってきたか一発でわかるような。
この一連でフンがアンナに対して好奇心から本気の恋に移り行くのも分かった。良いシーンだと思う。
結末については、諸説あるようだ。
・フンは追われていた男に殺された
・フンは逮捕され、会いに来たくてもこれなかった
諸説あるように、結末はぼかされている。
ぼかされているからいいのだ。
アンナが刑期を終えて、約束の場所でフンを待つ。
ラストシーンは、これでもかっていう長回し。
約束の場所で待つアンナ、アンナ、アンナ。
そして
「久しぶり」という台詞
アンナの目線は焦点を捉えていない。
それが、フンの存在を意味するのか、不在を意味するのかは
観客に委ねられる。
ラストシーン、秀逸!!!!!オリジナルがどうとか、盗作の「約束」がショーケンがどうとか
馬鹿みたいな評価はいらないだろう。
リメイクは別の作品。
レイトオータムは、素晴らしい作品だ。
ヒョンビンが好きとか、それだけの理由で観ては勿体ない。
ということで、レイトオータム
美味しく頂きました。
追伸
フンが、別に寝なくてもいいと言って
モーテルを飛び出した後、
「It stopped raining」(雨、降んだね)って台詞が一番好き!!
特筆するシーンじゃないけど、なんかすごい好き
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